カップル・ダンスのポジション |
●カップル・ダンスのポジション |
カップル・ダンスの主役は、ほとんどの場合は女性です。女性は、手や足、身体の動き、首の線、顔など、全身を美しく見せる様に振舞います。男性は、女性を美しく見せるようにリードします。女性の身長や足の長さ、ドレスなどを考慮し、一番見栄えがして踊りやすい位置でホールドし、ポジションを創ります。 |
女性の場合、手のひらを上にしてホールドすることは少ないようです。基本的には、手の甲が上を向きます。そして、親指が人差し指より外側に出ないように気をつけます。連手以外では、親指を中指の中間あたりにつけ、指一本分くらい離します。親指以外の4指は、揃えるか、少しづつ離して、親指を中指の中間あたりにつけ、指一本分くらい離します。そうすると、人差し指と薬指が同じ角度で伸び、小指だけが手の甲の延長線上になります。 |
連手の時、女性の手は男性の手のひらの上にのせるようにします。4指は閉じた状態で、小指からのせるようにします。この時、最も重要なことは、男性の手を握らないということです。男性は、女性の手を親指で止めるようにホールドしますが、女性は親指に力を加えません。つまり、握らずホールドします。 |
ちょうど中指の中間あたりの下に親指を持ってきます。握るのと、握らないのでは、踊りの雰囲気ががらりと変わりますし、 |
多カップルでシングル・サークルを作った場合も同様で、女性は男性の手を握りません。男性は、両側の女性に手のひらを見せ、女性たちはその上に4指をのせるのです。男性は、女性の肩から指先までのラインを美しく見せる位置に手をホールドします。 |
ここでは、フォークダンスに比較的よく出てくる、クローズド・ポジション、オープン・ポジションを例にとって、ホールドによるカップル・ダンスの方法をご紹介します。 |
●クローズド・ポジション |
社交ダンス・ポジションという場合もありますが、元々はフォークダンスのポジションです。 |
男女ともボールの位置で立ち、重心を決め、背筋を伸ばしてみぞおちを引き上げます。 |
男性は、両腕を横に広げて上げます。その時、手のひらは相手に向け、親指を手のひらから離し、他の4指は閉じます。肩の力を抜いて右手の手のひらを自分の胸の方に折り曲げます。左手は親指と人差し指が上を向く様に肘を曲げて上げます。この時、肩から肘までは、横に開いた状態のままで行います。つまり、両手ともに肘を曲げることによって形を創ります。これが男性のホールドですが、ポジションを創る時は、右手はまだ曲げません。 |
女性は、右手の親指以外の4指を閉じ、男性の左手の親指と人差し指の間に置き、男性の親指を握る様にホールドします。しかし、実際に握るのではなく手を握った状態から握力を抜き、男性に力を加えないようにします。男性の左手も、女性の右手を握った状態から握力を抜きホールドします。 |
何度も書いて恐縮ですが、ポジションを創る時、ホールドすることが重要です。ホールドとは、相手と握力で連手するのではなく、自分で形を維持することによって連手などをすることです。 |
男女の肩の線が平行になる様に女性が男性の前に立ったら、男性は右手を女性の左脇の下から回し、手のひらを女性の左肩甲骨の下付近に置きホールドします。社交ダンスの場合は、ボディ・コンタクトによるリードがありますが、フォークダンスでは目と手のコンタクトによるリードが主流ですので、社交ダンスの様に接近して組みません。男女は真正面に立つのではなく、少しだけ左にずれて組みます。ずれることによって動きやすくなり、女性の肩越しにフロアを見ることができます。 |
女性は、左手の親指以外の4指を閉じ、親指と人差し指で弧を描く様にして、男性の右肩の少し下の腕の上部に置きます。または、5指を閉じ、男性の左肩の腕の付け根あたりに中指を置き、手の甲を上にしてホールドします。いずれにしても、女性は男性の右腕に自分の左腕を乗せるのではなく、触れる程度でホールドします。男性を押さえつけたり、握ったりはせずホールドします。 |
クローズド・ポジションを創る順序は次の通りです。 |
@男性が両手を横に広げて、左手を肘を曲げて上げ、女性を迎えます。 |
A女性が近寄り、男性の左手に自分の右手を合わせて連手します。 |
B男性も女性の左手を握り、握力を抜いてホールドします。 |
Cさらに女性が近づき、男性は右手を女性の左肩甲骨の下にホールドします。 |
D女性は、左手を男性の右腕の上部にホールドします。 |
以上は、基本的なポジションですので、国により踊りによってポジションに変化があります。 |
このポジションでは、基本的に男女は別の足で踊ります。多くの場合は、男性は左足でスタートし、女性は右足でスタートします。 |
このポジションの変化形として、ルーズ・クローズド・ポジション、セミ・クローズド・ポジションなどがあります。ルーズ・クローズド・ポジションとは、男女がクローズド・ポジションよりも離れた状態でポジションを組みます。セミ・クローズド・ポジションとは、クローズド・ポジションに組んで、お互いに進行方向を向いたポジションです。進行方向とは、男性の左方向です。クローズド・ポジションよりも男性の左手・女性の右手の連手を下げ、男性の右手は左手の延長線上にホールドします。 |
●オープン・ポジション |
このポジションもフォークダンスでは、よく使われます。 |
男女が同一方向を向き、男性左側、女性右側に並んで立ちます。内側の手である男性右手、女性左手を連手します。連手の位置は、女性の肩の高さにホールドします。 |
同じオープン・ポジションでも、宮廷舞踊ではスタイルが異なります。オープン・ポジションとして括るにはちょっと乱暴な気もしますが、適当な言葉がありませんので、オープン・ポジションとしておきます。 |
多くの宮廷舞踊、宮廷舞踊風の踊りなどでは、次の様に組みます。 |
○男女とも優雅さを意識して立ちます。 |
男女とも足を60度に開き、ボールの位置で立ち、重心を決め、背筋を伸ばしてみぞおちを引き上げます。肩甲骨をやや下向きに寄せる様にし、頭の頂点を上に吊られたイメージを持ちます。両手を臍の位置位で、やや斜め前方向に広げて伸ばします。この時、手の甲を上にします。優雅さを表すには、直線的に手や腕を伸ばすのではなく、丸みを持った曲線をつくります。 |
○男女が同一方向を向き、男性左側、女性右側に並んで立ちます。 |
○男性は、右手の手のひらを上にして親指以外の4指を閉じて、臍の位置で前に肘を伸ばして上げます。 |
○女性は左手を手の甲を上にし、親指以外の4指をそろえ、男性の右手の手のひらの上にのせます。 |
親指は男性の手の下に持ってきます。位置的には、男性の手を挟んではいますが、自分の中指の第二関節の下に置きます。これは、ホールドであって握力は使いません。親指は男性の手の甲にギリギリ触れないところでホールドします。 |
○二人の連手した手は、約60度に開きます。 |
○男女とも外側の手は、最初に立った時の手の位置です。 |
手を臍の位置位で、やや斜め前方向に広げて伸ばします。この時、手の甲を上にします。女性はスカートを持つこともあります。 |
男性が右手を手のひらを上にして女性の左手を受けるホールドが一般的ですが、ミヌエットなどでは男性が手の甲を上にして、女性の左手を受けます。この時の女性の手の平も下向きです。 |
ポーランドでは、男性の右手の手の甲を相手に向けてホールドします。つまり小指を下に向けます。これは、お隣のベラルーシやウクライナが手のひらを上にすることから、同じポジションにすることを嫌ったためです。自国の踊りと他国の踊りの区別をつけたかったのでしょうね。 |
2008-11-10-001 |