ホールドとポジション





●ホールド
 ホールドとは、「支えること。身体などを一定の状態に保つこと」を言います。
 つまり、自分自身の力で、指示されたポウズを維持することです。他者の力を当てにしません。
 ホールドは、非常に重要です。特に二人で組んだとき、ホールドすべきところを自力で維持しなければ、お互いが踊りにくくなります。
 電車の吊革を持つ時、吊革を握ってぶら下がる様に下方向に力を加えると、手・腕にかかる負担が大きくなり、吊革自体の張力も大きくなります。別の方法として、吊革に親指と人差し指でリングを作って手をかけ、4指を揃えます。ぶら下がるのではなく、手の形をホールドして、軽く吊革に預ける様にします。引っ張るのではなく、ホールドを重視します。これだと、吊革に加わる張力は小さくなります。
 吊革ならば強いのですが、男性は弱いです。男性にぶら下がる様に女性が組めば、男性にかかる負担は大きくなり、たまったものではありません。本物の男性でも、「重い・・・」と感じるのですから、男性役の女性は支えきれません。結果的にいい加減なポジションになってしまいます。
 お互いに相手のホールドに負担をかけることなく、自力でホールドすることが重要です。社交ダンスでは、シャドーと言う個人練習があります。クローズド・ポジションを一人で作ってホールドし、ステップを踏む練習です。ホールドが安定するまで練習したら、男女で組んで練習します。フォークダンスは、自分でホールドするくせが出来ていないのに、いきなりポジションを組むため、ホールドに対する認識が甘いのかも知れませんね。
 女性はリードされやすい様に組む必要があります。オープン・ポジションなどで、男性の右手を握りしめてくる女性がいますが、これでは男性はリードしにくいし、女性も男性のリードに気付かない事になってしまいます。クローズド・ポジションでは、女性をトワールしたり、ナチュラル・ターン、リバース・ターン、ボックスなどのフィギュアを男性リードの元に行われます。この時、女性が男性の右肩を押さえつけたり、ぶらさがったり、がっちりと抱きついてくると、男性側のリードは非常にしにくくなります。女性の右手ももちろん握るのではありません。
 しつこい様ですが、25年前に比べるとホールドによるポジションという基本が守られていません。と言うより、知らない人も多い様に思えます。上手に踊るために、非常に重要ですのでお伝えいたしました。
 チェーン・ダンスもホールドです。両手を肩の高さ、下などに自身でホールドし、隣の人と連手します。自立したホールドでなければ、隣の人に迷惑です。特に小指ホールドは危険ですので、お気を付け下さい。

●ポジション
 ポジションとは、「位置」のことです。フォークダンスにおいては、各自の「足のポジション」「手のポジション」、チェーン・ダンスにおける隣の人との手の取り方、カップル・ダンスにおける組み方を言います。
 ポジションは、各自のホールドによって作られます。つまり、各自が自分自身の形をホールドすることによって、ポジションが生まれます。このことは、非常に重要です。初心者だけでなく、数年間踊っている方にも、ホールドしたポジションをとらず、握力を使ったり、力で引っ張ったりする方がいます。相手に力を加えると相手の動きを制することになり、お互いに踊りにくくなります。
 男女ともに自分の身体は自分で支えます。クローズド・ポジションなどで、女性は自分の左肩甲骨下にホールドした男性の右手に体重を掛けますが、これは寄りかかるわけではありません。男性が右手をきちんとホールドした状態で、女性がやや後に下がってポジションを組みます。カップル・ターンの際も女性が遠心力方向に体重をかけるのであって、下方向への力はかけません。

●2008-11-09-001