基本のステップ |
基本のステップを学習し、練習することは重要です。 |
基本のステップには、2種類があります。それは、インターナショナル・フォークダンスの基本と、各踊りに出てくる基本です。 |
インターナショナル・フォークダンスとは、ドイツ・オーストリア発祥のワルツ、ポーランド発祥のマズルカ、チェコ発祥のポルカ、ボヘミア発祥のショーティッシュのことを指します。ただし、インターナショナル・フォークダンスと言っても、万国共通のステップがあるわけではありません。 |
例えば、チェコが発祥と言われるポルカは、一般的に踊られているポルカとは違い、ホップのない踊りです。チェコ、アメリカ、スウェーデンなどのポルカを見比べてみるとその違いがよく分かります。同様にワルツでも、ショーティッシュでも、マズルカでも、国が変わればステップが変わります。 |
ここで、私たちが念頭に置くべきことは、基本ステップを学習をしたとしても、それをそのまま各国の踊りに使うのではなく、各国のスタイルに合わせる必要があるということです。 |
各踊りに出てくるステップは、その踊りのベーシックです。通常の踊りは、ベーシックがありヴァリェーションがありますので、最初にベーシック・ステップをマスターしておけば、修得がより容易になります。 |
ここでは、個々の踊りのステップではなく、インターナショナル・フォークダンスの基本をお伝えします。 |
●ウォーク |
ダンスの歩行方法の基本は、欧米式の歩行がベースで、支持足の足裏をローリングさせつま先で蹴りだし、遊足を膝を伸ばして前に出すという動きです。その時、身体の中心である、おへその少し下の腹中にある丹田を意識します。そして、姿勢を良くするため、みぞおちを上に引き上げ、肩甲骨を内側に寄せ、糸で上に少々吊られたイメージで歩きます。みぞおちを引き上げた時に、そこからが足であるというイメージも必要です。 |
以上のことを、いきなり実施するのは難しいのですが、ウォークは基本ですのでマスターする必要があります。 |
カウントで練習し、ある程度理解できたら、音楽に合わせて歩いてみます。ウォークをLOD方向に行うようにし、「レディー・ゴー!」のような掛け声を掛けます。レディー(用意)の時に右足からスタートするための準備を完了させます。すなわち、左足に体重をのせ、膝を曲げ、いつでも右足からスタート出来る様に準備を完成させるのです。そして、ゴーの時に左足で蹴りだし、右足の膝を伸ばしてボールで前にステップします。カウントに合わせて、確実に体重を移すようにします。 |
移動手段としてのウォークは、足の振りと逆側の手を振ることにより、振りの力を用います。しかし、ダンスでのウォークでは、前後の手の振りは使いません。上半身と下半身を捻ることなく歩くためです。また、手・腕は表現力のある部分なので、あまり腰から下には手は下ろしません。ラテンの踊りなどでは、手を振ることがありますが、この場合の動きは前後ではなく横です。脇を締めず、腰の位置より下げずに左右に腕を振ります。 |
練習では、男性は手を背中の方で組むか、ポーランド風に5指後方で腰に置きます。女性は、手のひらを下にして、両手を斜め前にゆるやかに伸ばしたスタイルをホールドします。 |
フォークダンスにおいて、ウォーク・ステップはつま先を上に向けません。足をあまり床から離さず、しかも滑らせることなく、膝を伸ばして前に出し、ボールから着地するようにします。着地したらボールからつま先へとローリングし、後ろに蹴りだして逆足を前に出します。 |
リズムに合わせて歩くことが重要です。初心者対象の場合は、マーチの曲を使うと良いでしょう。 |
年長者などが転倒防止として歩く練習をする場合は、足をきちんと上げるようにし、つま先を上に向け、踵から着地することが肝心です。フォークダンスのステップとはかなり違いますので、年長者への指導の際は考慮する必要があります。 |
●ツーステップ |
ツーステップは、インターナショナル・フォークダンスとは言い難いのですが、クイック・クイック・スローというリズムや2歩目をクローズするという足の運びをマスターすることは、他の踊りに応用ができますので、基本として学ぶことが多いようです。 |
○リズムは、QQS です。 |
2拍子に合わせれば、(ct.1 & 2 ) となり、4拍子では、(ct.1 2 3 - ) になります。 |
つまり、速いリズムのツーステップと遅いリズムのツーステップがあります。 |
○ステップは、「ステップ・クローズ・ステップ・ホールド」です。 |
ステップは、すべてすり足です。足底を床から離すことはありません。クローズは、膝、太ももまで閉じるようにします。クローズがルーズになると踊り全体にしまりがなくなりますので、初心者の頃からしっかりと足を閉じる癖をつけましょう。コツは、靴の部分の足を閉じるという動きではなく、膝を閉じる動きで練習した方がきちんと出来ます。このクローズした足は、先にステップしていた足より前に出ることはありません。 |
速いリズムでの最後の (ct.&) と遅いリズムの4呼間目はホールドします。ホールドは静止のことですので動きを止めます。支持足でホップや膝の屈伸、遊足を動かすとショーティッシュになりますのでご用心を。 |
○1歩目と3歩目の歩幅は同じです。 |
ツーステップは、右足からスタートした場合、次の小節では左足から出ることになります。奇数歩であるため、様々な動きが可能になります。 |
初心者の最初の頃にツーステップを練習した場合、ツーステップを踊り全体の基本として捉えてしまう方がいます。例えば、シャッセーを使わないステップ・クローズでもすり足を使います。ルンバ、チャチャチャ、ワルツなどはすり足ではありません。また、2呼間に3歩ステップするリズムをすべてクイック・クイック・スローだと思い込んでしまっている方もいます。実際は、スロー・クイック・クイックのリズムも多々あります。 |
●ショーティッシュ・ステップ |
ショーティッシュ・ステップの原型は、3歩進んでホップするというパターンです。おそらく世界で最も多いステップでしょう。このパターンの踊りには、中国の弦子、アンデスのカルナバリート、セルビアのポスコック(ミラノボ・コロ)、ルーマニアのスルバ、イスラエルのハーモニカ、クマ・アッハ、イェヴレヘハなど多々あります。ショーティッシュ・ステップとして洗練され、インターナショナル・フォークダンスとして踊られるようになり、欧米を中心に各国で踊られています。 |
○リズムは4拍子です。(ct.1234) |
○ステップは、「ステップ・クローズ・ステップ・ホップ」です。 |
スロー・ツーステップの4呼間目のホールドの代わりにホップをします。ホップは、床から足を離すものから、膝の屈伸だけのものまで様々あります。 |
○1歩目と3歩目の歩幅は同じです。 |
○このステップで、前進・後退、横への移動が可能です。 |
○横へのショーティッシュは、サイド・ショーティッシュと呼ばれます。 |
横へのステップは、「横・クローズ・横・ホップ」、「横・後・横・ホップ」です。横・後・・の後とは、逆足の後ろに交差してステップすることを言います。 |
ツーステップと同様に右足からスタートした場合、次の小節では左足から出ますので、様々な動きが可能です。 |
多くのショーティッシュの踊りでは、2回のショーティッシュ・ステップに続いて4回のステップ・ホップを行います。 |
●ランニング・ショーティッシュ |
ショーティッシュ・ステップの一つで、全てのステップがランニング・ステップになります。 |
○リズムは4拍子です。(ct.1234) |
○ステップは、「ラン・ラン・ラン・ホップ」です。 |
ランニングとホップによる踊りですので、活発な踊りになります。 |
●ワルツ・ステップ |
ワルツは、13世紀頃、チロル地方で踊られていたヴェッラー [Weller] というカップルの踊りが起源です。日本では、円舞曲とも言われます。 |
○リズムは3/4拍子です。(ct.123) |
1拍目にアクセントのある音楽を使用します。「ズン・チャッ・チャッ」という風にリズムをとると分かりやすいです。 |
○ステップは、「ステップ・ステップ・クローズ」、または「ステップ・ステップ・ステップ」です。 |
○ステップの歩幅は、大きく、小さく、小さくです。 |
○ダウン、アップ、アップという上下動があります。 |
●ポルカ・ステップ |
2/4拍子のカップルの踊りです。1830年頃にチェコのボヘミアに起こり、タトラ山脈近辺のスロバキア、ポーランドに伝わりました。後には、インターナショナル・フォークダンスとして、欧米を中心として世界中で踊られるようになりました。 |
○リズムは2/4拍子です(ct.1 & 2 ) |
○ホップ (ct.ah)、ステップ (ct.1)、クローズ (ct.&)、ステップ (ct.2) |
右足からスタートする場合、左足でホップし (ct.ah)、右足をステップ (ct.1)、左足を右足の横にステップ (ct.&)、右足をステップ (ct.2)です。 |
●マズルカ・ステップ |
マズルカは、ポーランドの北部のマズール地方発祥の踊りです。ポーランドでは、この音楽をマズレックといいダンスのことをマズールと呼びましたが、他国では、音楽も踊りもマズルカと呼ばれました。 |
○リズムは3/4拍子です。(ct.123) |
2拍目か3拍目にアクセントのある特徴のあるリズムです。 |
○ステップは、「ステップ・ステップ・ホップ」です。 |
2008-11-07 001 |