Horah

●ホラ [Horah]
 ルーマニアに住んでいたユダヤ人たちが、シオニズムの時にカナンの土地に持ち帰った踊りです。
 ルーマニアのホラで使われる簡単なステップを繰り返す踊りで、
 ユダヤの詩とクレズマーの曲に合わせ、シングル・サークルでエネルギッシュに踊りました。
 イスラエル国建国当時は、新生イスラエルの雰囲気に最も適しており、国民全員が多いに踊りました。
 初期のステップは、バルカン・ベーシックとも言われる動きで、ルーマニアだけでなく、
 バルカン地方で最も多く踊られていたステップでした。
 わずか6呼間のステップです。
 それは、右足から右にステップ@、左足を後ろにクロスA、右足を右にステップ・ホップBC、
 左足を左にステップ・ホップDE、という動きです。
 これを、ずっと繰り返す踊りでした。
 
 シオニズムのテーマとしてよく使われた曲が、「ハヴァ・ナギラ」です。
 「さあ、楽しくやろう!」の様な意味の詩と明るい曲です。
 ハヴァ・ナギラに合わせて、6呼間の動きを繰り返し盛り上がりました。
 後にバルカン・ベーシックの踊り方に変化が起こり、ニュー・ホラというステップが登場しました。
 これも6呼間の踊りで、右足から2歩LODに進み@A、円内を向いて両足でジャンプB、
 右足でホップ、左足を前にキックC、両足でジャンプD、左足でホップ、右足を前にキックE、
 または最後の2呼間で左足からスリーズというステップです。
 
 次には、曲に合わせて、オールド・ホラとニュー・ホラを踊るものも出てきました。
 タアミン・ロ・タアミンや日本で踊られているハヴァ・ナギラなどがそのタイプです。
 次に曲に合わせて、踊りを振り付ける様になりました。
 主要なステップは、オールド・ホラ、ニュー・ホラ、ダブル・ホラ、グレープ・バイン、
 オープン・バイン、チェーケシア・ステップ、ダブル・チェーケシア・ステップ、
 チェーケシア・コンビネーション、スリーズ、ステップ・ホップ、ショーティッシュなどです。
 音楽に合わせ、詩のイメージに合わせて、これらのステップを組み合わせて踊りを振り付けたのです。
 詩は、聖書の一片から選ばれることが多く、他にはシオニズムをテーマにしたもの、恋の詩があります。
 
 独立前後のオールド・ホラ、後の創作ホラ、どちらもイスラエルでは大いに踊られましたが、
 徐々に踊りの傾向が変わり、イェメン帰りのユダヤ人の踊りや
 カナン近辺にいた人たちによるデブカ、東ヨーロッパの宗教ダンスであるハシディック・ダンス、
 ロシア、イタリア、ギリシャ、バルカン、スペイン、ポルトガルから帰ってきた
 ユダヤ人によるその地方の踊りが踊られる様になりました。

 ○スタイル
  ホラは、元気で明るい踊りです。
  ステップは、ほぼランニング・ステップで走る様に踊ります。
  横に進む時に軽くホップを入れたり、ステップ・ホップの時の上がった足を膝を曲げて高く上げたり、
  しゃがみこんだり、跳び上がったり、両手を勢いよく挙げたり、素早く回転したり。
  体育系の踊りですので、体調のいい時は思いっきり踊りたいものです。

●ステップ・・右足スタートで説明
 ホラによく出てくるステップの説明です。
 ホラの場合、元気にはつらつと踊るとホラらしくなります。
 上下動よりも距離をかせぎます。
 説明では、ステップと言う書き方をしていますが、実際はリープを多用します。
 大きく踊るといいでしょう。

 ◇オールド・ホラ
  円内向き、右足から右にステップ@、左足を後ろにクロスA、
  右足を右にステップ・ホップBC、左足を左にステップ・ホップDE

 ◇ニュー・ホラ
  LOD向き、右足から2歩LODに進み@A、
  円内を向いて両足でジャンプB、右足でホップ、左足を前にキックC、
  両足でジャンプD、左足でホップ、右足を前にキックE

 ◇ダブル・ホラ
  円内向き、右足から右にステップ@、左足を後ろにクロスA、
  右足を右にステップ・ホップBC、 
  左足を左にステップD、右足を後ろにクロスE、左足を左にステップ・ホップFG

 ◇ステップ・ホップ
  足をステップ@し、その足でホップAする動き。
  ホップの時、軸足の膝を屈伸させる様な小さな動きではなく、
  跳ねた時の足が床から離れる様にし、逆足を膝を曲げて大きく上げることが多い。
  つまり、元気に踊ることがポイント。
  前進後退、右・左、その場、回転にて使われます。

 ◇ショーティッシュ
  ランニング・ショーティッシュ。
  三歩ステップした後、ホップする動きです。
  前進後退、右・左、その場、回転にて使われます。

 ◇ハーモニカ・ステップ
  その場でショーティッシュ・ステップを踏みますが、各1歩目は逆足の前にクロスします。

 ◇スリー・ステップ
  その場に右足をリープし、左足を右足のそばにステップ、右足をその場にステップ。
  この3つのステップを2呼間(QQS)で行います。

 ◇チェーケシア・ステップ
  その場で踏むステップです。右足を前にステップ@、左足にステップ・バックA、
  右足を後ろにステップB、左足にステップ・バックC。
  最初の右足前の時に両手を胸の前に手のひら上向きで上げたり、連手を上げることが多いようです。
  最後の左足は、アクセントをつけてその場にリープし、右足を前に振り出す動きもよく見られます。
  チェーケシアとは、サーカシアンのことで、コーカサス地方のことを言います。
  チェーケシア・ステップとは、コーカサス地方のステップと言う意味です。
  ただし、コーカサスでの同様のステップは、踵を上げ、腰から上を直立させるスタイルなので見た目は別物です。

 ◇ハーフ・チェーケシア・ステップ
  右足を左足の前にクロス@、左足にステップ・バックA、右足を左足のそばにステップB。

 ◇ダブル・チェーケシア (チェーケシア・クフラ)
  右足を左足の前にクロス@、左足にステップ・バックA、
  右足を左足のそばにステップB、左足を右足の前にクロスC、
  右足にステップ・バックD、左足を右足のそばにステップE、
  右足を左足の前にクロスF、左足にステップ・バックG。
  6呼間目で終わることもあります。

 ◇チェーケシア・コンビネーション
  チェーケシア・ステップで側進する動きです。
  腰をひねらず、円内向きでステップを踏みます。

 ◇マイム・ステップ
  チェーケシア・コンビネーションと同様のステップですが、
  マイム・マイムで使われるステップなのでこの名称があります。

 ◇グレープ・バイン・ステップ(バイン・ステップ)
  LODに側進する場合は、右足を右横にステップし続け、左足は右足の前と後ろに交互に交差します。
  逆LODに側進する場合は、左足を左横にステップし続け、右足は左足の前と後ろに交互に交差します。
  スタートする足は、その踊りによって異なります。

 ◇オープン・バイン
  初期のホラでよく使われたステップです。
  LOD向き、右足から2歩前進し@A、素早く逆LODを向き、右足から2歩後退BCします。
  4歩ともリープで行いますが、特に3歩目の右足のリープの時はアクセントをつけ、
  高く跳び上がり、連手も真上に挙げます。
  ホラ・ビカ、クマ・アッハなど。

 ◇ホップ・ステップ・ステップ
  オープン・クローズの時、右足をオープンする直前に小さなホップを入れます。
  ホラ・ビカなど。

 ◇スネイク・ステップ
  前進ステップの際に使います。
  右足を左足の前にステップ、次に左足を右足の前にステップ、という風に蛇行する動きです。
  ベシューヴ・イトヘムなどに出てきます。

 ○手の動き
  ルーマニアのホラの場合、連手を上下したり、ワイパー風に動かしたりしますが、
  イスラエルのホラの場合、V-ポジションのままで踊り通す踊りが多いようです。
  ただし、マイムの時、前進の時に連手を上げたり、
  オープン・バインの時に連手を上げるといったアクセントのある踊りもあります。
  初期のホラは、団結が大きなテーマであったため、
  全員が連手したシングル・サークルの踊りがほとんどでしたが、
  最近は連手をしないで踊るフリー・スタイルの踊りも多いようです。

 ○代表的なホラ
  エレッツ・ザヴァット・ハラヴ、カルー・ラヴライム、クマ・アッハ、クミ・オリ、
  タアミン・ロ・タアミン、チェーケシア、チェーケシア・クフラ、ドディ・ツァッハ・ヴェアドム、
  ドハリム・スシム、ハーモニカ、ハヴ・ラヌ・ヤイン、ハヴァ・ナギラ、ベシューヴ・イトヘム、
  ボ・イティ・エル・ハガリル、ホラ・エイラット、ホラ・ジオン、ホラ・ビカ、ホラ・マムテラ、
  ホラ・メドゥラー、マイム・マイム、ラヴ・ベラホット、レック・ラミッドバーなど。


○2009-01-16-001
○2009-07-21-002