バルカン



Balkan

●バルカン地方とは
 バルカン半島にある国々のことで、ルーマニア、ブルガリア、セルビア、
 ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、スロベニア、マケドニア、
 アルバニア、ギリシャの9国が該当します。
 バルカン・ダンスと言った場合は、チェーン・ダンスと同意に使用し、
 トルコ、アルメニア、アラブ、イスラエルなどの国を含めることもありますが、
 基本的には上記の9国です。

●ダンス
 バルカン地方の踊りは、チェーン・ダンスが主流です。
 チェーン・ダンスのことをギリシャでは、ホロスといいます。
 ホロスには、色々と意味があります。
 「コーラス」「踊り」、「全体」「統合」などです。
 癒し(healing)、健康(health)、聖なる(holy)の語源でもあります。
 このホロスという言葉が各国に伝わって変化し、
 ブルガリアでは「ホロ」、ルーマニアでは「ホラ」、
 セルビア、クロアチアでは「コロ」、マケドニアでは「オロ」と呼ばれています。
 また、トルコやイスラエルのホラ、ロシア、ウクライナなどのハラヴォードも変化した言葉です。
 (ハラヴォード=ホロ+ヴォード)
 カップル・ダンスは、スロベニア、クロアチアで普通にみられ、
 ギリシャのカルシュラマス、バロス、ルーマニアのインヴェルティタなどがあります。

●バルカン・ベーシック
 バルカン地方のステップは、LOD方向にダブル・ステップ、
 逆LODにシングル・ステップという、3歩+1歩でLODに進むステップがベースになっています。

○シングル・ステップ(オープン・クローズ)
 右足を横にステップ、左足を右足のそばにタッチ。
 同様に左方向に行うこともあります。もっとも基本的な動きです。
 このステップ・タッチのタッチの部分は、様々な変化形があります。
 膝を曲げて上げたり、右足のそばにスタンプしたり、タッチの場合でも、
 つま先、ボール、足底全体であったりします。
 右足も動きを止めるのではなく、膝をゆるめて屈伸させたり、
 軽くホップしたり、重くホップしたり。様々です。

○ダブル・ステップ(オープン・クローズ×2)
 右足より右横へ、ステップ・クローズ・ステップ・タッチ。
 同様に左方向に行うこともあります。
 ダブルに様々な変化形があります。
 @横、後ろクロス、横、タッチ。
 A横、前クロス、横、タッチ。
 BLODを向き、2歩前進、円内向き右足横、タッチ。

○ダブル+シングル
 右方向にダブル、左方向にシングルを行います。
 このステップにより、ダンサーはLOD方向に動きます。
 この動きをバルカン・ベーシックと呼びます。
 バルカン地方の踊りの最もベースにあるステップです。

○ギリシャの場合
 この動きは、ホロス(ダンス)のベーシック・ステップです。
 有名なものに、T-ポジションのハサポセルヴィコス、ベルト・ホールドのゾナラディコス、
 フロント・バスケット・ホールドのイ・トラタなど多々あります。

○ブルガリアの場合
 ホロのベーシック・ステップです。
 また、円内に入ったり、出たりしながらLODに進むプラヴォ・ホロのパターンでもあります。

○ルーマニアの場合
 スルバのベーシック・ステップです。
 右足より、横、後、横、ホップ。左足より、横、ホップ。
 ホップの時、逆足をルーマニアン・スイングをします。

○マケドニアの場合
 レスノトのベーシック・ステップです。
 レスノトは、7拍子の踊りです。
 レスノトの場合、チュクチェという独特の上下動が入ります。
 やや右を向き、右足をステップ・チュクチェ、左足を右足の前にクロス・ステップ、
 円内を向き、右足を横へ、右足チュクチェし、左足を右足の前に上げる、
 左足を後ろへステップ、左足チュクチェし、右足を左足の前に上げる。

○トルコの場合
 ホラのベーシック・ステップです。

○イスラエルの場合
 ホラのベーシック・ステップとして踊られています。
 ホラとコールされれば、右(左)に3歩ランニング・ホップ、逆にステップ・ホップを行ないます。
 ただし、スリー・ステップのことをホラと呼ぶ場合もあります。
 上記のダブル・ステップのことをダブル・ホラと呼ぶこともあります。

●宗教
 ギリシャ、ブルガリア、セルビア、マケドニア、ルーマニアの宗教は正教会です。
 イタリア、オーストリア、ハンガリーなどのカトリック諸国に近い
 スロベニア、クロアチアはローマ・カトリック教です。
 アルバニアは、イスラム教が7割、正教が2割です。
 ボスニア・ヘルツェゴビナは、イスラム教が5割、正教が4割です。