Mayim Mayim
マイム・マイム

Israel
 この踊りは、イスラエルの踊りですが、アメリカ、ドイツ、中国、日本など、世界のあちこちの国で踊られている非常に人気の高い踊りです。

 タイプ ホラ系
   イスラエルの踊りの中でも、イスラエル建国初期のころ盛んに創られた「ホラ」というジャンルの踊りです。
 ホラは、ランニング系の元気のいい踊りで、元々は、ルーマニアのフォークダンスですが、ルーマニアに住んでいたユダヤ人が、イスラエルに移住した時に持ち帰りました。
 当然ながら、ルーマニアではルーマニアの歌と音楽を使いますが、イスラエルでは、ホラに合ったユダヤの歌と音楽を使います。つまり、聖書の一節にユダヤ的な曲をつけ、それにルーマニアのホラ風の踊りを振りつけました。建国当時のイスラエルでは、団結の士気を高める踊りとして愛され、普及し、多くの方が踊りました。
 このマイム・マイムもホラの踊りで、聖書の一節に曲をつけたものです。

 音 楽 4/4拍子  1 2 3 4
 踊りを解説する場合、カウントによって踊りの拍子を数えます。
 この解説では、カウントは (ct ) という略語で表わしています。 (ct.1) とは、第1カウントを意味し、(ct.2) とは、第2カウントを意味します。(ct.1-2) の場合は、2カウントを使って動作することです。
 マイム・マイムは、有名な曲だけあって、かなりの数のレコードが発売されています。イスラエルで演奏されたもの、日本で演奏されたもの、ゆっくりのもの、速いもの、歌のあるもの、インストゥルメンタルなどなど色んなアレンジのものがあります。踊る対象に合わせ、音楽を選ぶことも重要だと思えます。

 隊 形 シングル・サークル。パートナー不要。
 参加者全員で一重円を作ります。パートナーはいりませんので、男女が別に踊ってもいいし、交互に並んで踊ってももちろんOKです。
 解説でいう身体の向きは、骨盤の向きです。

 ポジション 全員円心向きで低く連手する。
 これをV-ポジションと言います。隣の人と連手した形が、アルファベットの"V"に見えるため、この名称があります。最初は連手を下ろしていても、踊り始めると手が次第に上がってしまうことがあるので、注意が必要です。

 ステップ ランニング系
 ステップはすべて、軽く跳ぶように行います。

 
小節 (4/4) Part-1 チェーケシア・コンビネーション
円内向きのシングル・サークルになる。
前奏の最後に左足に体重を移し、踊り出す準備をする。

 1〜 右足を左足の前にステップ(ct.1)
左足を左横にステップ(ct.2)
右足を左足の後ろにステップ(ct.3)
左足を左横に軽くリープし、右足を前に振り出す(ct.4)

 リープとは、跳ぶという意味ですが、通常の跳ねる動きよりも鋭い動きであり、跳び越す様な動きです。リープの場合、完全に両足を床から離します。
 この部分では、左足にリープすると同時に右足を前方に振り出します。

 2〜4 小節1〜のステップをあと3回繰り返す。
合計で16歩側進することになる。

 この右足からの前、横、後、横で左横へと側進する動きをチェーケシア・コンビネーションと言います。
 この動きでは、左足は常に左横に動き、右足は左足の前と後ろに交互にステップします。これは、ブドウのツルが、枝などに巻きついていく様を表しています。よって、グレープ・バイン・ステップとか、バインという呼び方をする方もいます。ただし、通常のバインでは、4歩目のリープによるアクセントがありません。
 または、水の流れを表しているという方もおり、マイム・ステップとも言われています。

Part-2 円心へ前進・円外に後退
 1〜 円心を向き、右足を前にリープし、上体を前にかがめる(ct.1)
体を起こし、左足より3歩ランニング・ステップを続け円心に進む。
連手を上げてゆく(ct.2-4)
 2〜 右足を後ろにリープし、上体を前にかがめ、連手は下げる(ct.1)
体を起こし、左足より3歩ランニング・ステップで後退する(ct.2-4)
 3〜4 小節1〜2をくりかえす。

 円内への第一歩、円外への第一歩は、ステップではなくリープです。素早く右足にリープし、左足は軽く上に上げます。加えて、この時、上体を前傾にします。日本では、リープや前傾といった独特な動きは省略され、平面的なウォーキング・ステップで代用されていますが、元気のある方は、本来の踊り方を試されて下さい。
 前進の4呼間で、「マイム・マイム・マイム・マイム」と歌い、後退の4呼間で、「ウ・マイム・ベッサイソン」と歌うと雰囲気が盛り上がります。
 意味は、「水だ、水だ、水だ、水だ!水だ、嬉しいな!」です。
 前進、後退を8歩づつで行う踊り方もありますが、通常は4歩づつで踊ります。

Part-3 逆LODへ3歩、ホップ
 1〜 逆LODを向く。
右足から軽いランニング・ステップ3歩で逆LODに前進する(ct.1-3)
右足で軽くホップしながら右に1/4回転して円心を向き、左足を右足の横にタップする(ct.4)

 逆LODとは、円心向きから90度左を向いた方向です。つまり、連手した左手の方向です。
 タップとは、足の親指のつけね(ボール)の位置で床をトンと打つことです。
 この4呼間は、割り込み小節です。割り込み小節については、下記の Note をご参照ください。

Part-4 ホップとタップ
円心向き。
 1〜 連手のまま、右足でホップし、左足トゥを前にタップする(ct.1)
右足でホップし、左足トゥを左横にタップする(ct.2)
くりかえす (ct.3-4)
 2〜 小節1をくりかえす。

 右足のホップを8回繰り返すことになります。
 右足でホップを行いながら、左足を前と横にタップを繰り返します。

 3〜 連手を離し、左足をその場にリープし、やや右を向く。
同時に右足トゥを前にタップし、胸の前で拍手を1回行う(ct.1)
左足でホップし、右足トゥを右横にタップする。
この時、両手を左右に開き「ヘイ」とかけ声をかける(ct.2)
左足ホップしてくりかえす (ct.3-4)
 4〜 小節3をくりかえす。

 左足にリープした後、左足のホップを7回繰り返すことになります。
 左足でリープとホップを行いながら、右足を前と横にタップを繰り返し、同時に手拍子と掛け声、両手開きを繰り返します。

 〜以上をくりかえす。

 Note

●マイム・マイムの歌詞

U-shav-tem Mayim Be-Sa Son     
ウ シャヴ テム マイム ベッサッソン 
Mi-ma-Ye-Ney Ha-Ye Shu-ah                         ×2
ミ  マ イェ ネー ハ イェ シューア

Mayim Mayim Mayim Mayim U-Ma-Yim Be Sa-Son             ×2
マイム  マイム  マイム  マイム  ウ  マ  イム  ベッサッソン

Hey! Hey! Hey! Hey!
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ

Mayim Mayim Mayim Mayim Mayim Be Sa-Son               ×2
マイム  マイム  マイム  マイム、  マイム  ベッサッソン


マイム・マイムの歌詞の訳
 喜びをもって水をくめ、
 救いの井戸から
 水、水、水、水、水、うれしやな!
 ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
 水、水、水、水、水、うれしやな!


●音楽構成は、4拍子で、4小節+4小節+1小節+4小節です。
 つまり、1小節の割り込み小節があります。この割り込み小節が、踊りをより面白くしています。踊りとしては、Part-3の逆LODに3歩行き、軽くホップするパートです。

●グレープ・バイン
 ブドウはイスラエルでは重要な産物です。イエス・キリストは、「私はブドウの木です。私とつながりなさい、そして実を作りなさい」と教えていますし、旧約聖書にもブドウは頻繁に出てきます。ユダヤ教は旧約聖書の教えですので、キリストの話は抜きにしても、古くよりユダヤ人は、ブドウを栽培していた様です。

●イスラエルという土地は、半乾燥の気候で、降水量は年平均で500〜600mmです。日本は、1700mmくらいですから、約1/3くらいです。日本の場合は、山から海までの距離が短く、雨水をいかにせき止め、飲料水にするかが問題ですが、川が多いため悲観的ではありません。イスラエルの場合は、大きな川がありません。国起こしの条件である大河がないことは、旧約聖書の時代からユダヤ人にとっての大問題でした。古代より、泉のある場所に街を作り、泉がなければ50〜60mの井戸を掘って水を得ていた様です。
 このマイム・マイムは、水という意味です。聖書には、水についての記述が多いのですが、この踊りの詩は、旧約聖書のイザヤ書第12章第3節からとっています。
 「あなたたちは喜びのうちに、救いの泉から水を汲む」
 ”U’sh’ avetem mayim be-sasson Mi-ma’ayaneh ha-yeshua”.
 この一節に曲をつけてあります。この一節のあとは、水を得た喜びを歌っています。つまり、前半は神の声で、後半は民の声です。
 パレスチナの地では、水は貴重であり、この一節は神の恵みを水にたとえています。「神との出会いは、のどが渇いたときに水を得たような喜びです」という思いからきています。つまり、神への感謝の踊りです。
 ここでの神の恵みとは、離散したユダヤ人が約束の地であるパレスチナに集まることを指しています。旧約聖書の言葉ですので、古代の話ですが、再び離散したユダヤ人がパレスチナの地で1948年に独立し、ぞくぞくと帰還してきた時に、ついにこの時が来たという思いで踊ったものと思われます。
 つまり、シオニズムで帰還したユダヤ人たちが、自分たちの国を得た喜び、神への感謝を歌にし、踊りにしたと思われます。


●2008-10-29-001 作成
●2009-03-23-002 一部修正
●2009-05-30-003 一部修正
●2009-12-01-004 一部修正

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